【宅配お悩み相談室】ワレモノシールを貼れば大丈夫?現役ドライバーのホンネ、飾りじゃないのよシールは!

ワレモノシールを貼ってください

荷物の集荷に行くとお客様から「ワレモノが入っているのでシールを貼っておいて下さい」なんて言われます。

そんな時はもちろん、荷物を発送する前に「ワレモノシール」を貼ります。

ただ我々ドライバーから言わせていただくと、ワレモノシールを貼ったところでそれほど効果は期待できません。

これはけしてワレモノシールだけではなく「天地無用」や「ナマモノ」などのシールにしても同じことです。

ひとことで言ってしまえば、シールはただの飾りみたいなものだからです。

今回は「荷物に貼るシールと破損の関係性」について考察していきます。

どんなシールがあるの?

まずは宅配業者にはどのようなシールがあるのかを見ていきましょう。

基本的に宅配便の荷物というのはすべて「段ボール」に入っています。

ということはもちろん、その段ボールをみても「中身」はわかりません。

そんな時に役立つのが、宅配便で利用できる各種シールというわけです。

代表的なものを挙げていきましょう。

ナマモノシール

取扱注意シール

上にモノを載せないでシール

指定日配達シール

この面を上にシール

ワレモノシール

「ナマモノ」シール

ナマモノシールが示すものといえば、野菜や果物などの食品が多いです。

基本的には「日数」が経つと食べられなくなってしまうものですね。

ひと昔前まで「ナマモノ」といえば、田舎の両親が一人暮らしをする子供あてに送る荷物がほとんどでした。

でも今ではネットショッピングが当たり前となり、通販で野菜や果物を購入する人も増えてきました。

当然ですが、ナマモノというのはたいへん「傷みやすいもの」です。

もちろん気温にもよりますが、到着から2~3日経っても受け取れない場合はすぐに返送されることもあります。

ナマモノを取り扱いする際には、特に日数に注意してください。

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「取扱注意」シール

取扱注意のシールというのは、かなり便利で万能タイプのシールです。

なぜならこのシールを貼る目的は「この荷物はていねいに取り扱ってください」というメッセージだからです。

誰だって「自分の荷物は丁寧に取り扱ってほしい」はずですし、荷物が破損して喜ぶ人間なんていません。

このシールの対象は、ご依頼人が「特に大切にしてほしい」お荷物です。

ということは極論で言うと、すべての荷物が対象というわけですね。

「上にモノをのせないで」シール

これはもう読んで字のごとくです。

該当の荷物の上には「何も載せないでください」という意味ですね。

対象の荷物としては「生花」や「フラワーギフト」または「バルーンギフト」などの軽いものが該当します。

上からの圧力に弱い、比較的「つぶれやすいモノ」などが多いですね。

「指定日配達」シール

こちらのシールもよく利用されます。

「このシールに書いてある日時に配達をしてください」という意味ですね。

送り状と呼ばれる「伝票」以外にもこのシールを貼ることによって、その「視認性」は間違いなく上がります。

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「この面をうえに」シール

こちらも日本語そのままですね。

対象となる荷物は「横に倒したり天地を逆さにしてほしくない荷物」です。

ただし基本的に我々ドライバーは、故意に荷物を横にしたり天地を逆にしたりするようなことはありません。

普通に段ボール箱に入っている状態で荷物をお預かりすれば、もちろんそのままの状態でお運びしていきます。

「ワレモノ」シール

では最後にワレモノシールです。

お客様の自宅に集荷にいくと、ご要望で一番多いのがこちらのシールです。

ワレモノと聞いて想像するのは、やはりガラス製品や食器など「衝撃で割れてしまう可能性のある」商品です。

他にも「アラレ」や「おかき」などの「割れやすいお菓子」をワレモノ扱いするお客様もいらっしゃいます。

さらに「コワレモノ」もすべて「ワレモノ」と定義するお客様もいらっしゃるため、我々の取り扱う「ワレモノ製品」はかなり多岐にわたります。

実際のところなんでもかんでも「ワレモノシール貼っておいて」なんていうお客様もいらっしゃるくらいです。

ではお客様は一体何のためにこれらのシールを要求するのでしょうか?

続きましてはこれらの「シールの効果」について考察していきましょう。

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シールが貼ってあれば大丈夫?

では続いて「各種シールによる効果」について考察していきましょう。

もしも荷物にそれらのシールが貼ってあったとしたら、輸送中に荷物が破損する可能性は下がるのでしょうか?

まずは単刀直入に結論から言ってしまうと、シールを貼ることによる効果はけして「ゼロ」ではありません。

かといって「それらのシールによって破損が防げるのか?」と聞かれたら、それも「ゼロ」ではありません。

これは「そもそもの話」ですが、輸送中の荷物の破損や損傷を100%防ぐことはできないからです。

なぜならその荷物を運んでいるのは我々人間であり、我々が人間である以上はミスがつきものだからです。

この世に完璧な人間などいません。

たとえどんなに完璧にみえる人でも、ミスや間違いはするものです。

さらに荷物が到着するまでには、たくさんの人間が関わってきます。

時には荷物を持ったままつまずいて転んでしまったり、荷台で荷物を倒してしまったりすることもあるでしょう。

だからシールが貼ってあろうがなかろうが、輸送中の荷物の破損は起こりうるということはまずご理解ください。

ではこれらのシールが貼ってあることによって、荷物の破損が起こる確率はどれぐらい下がるのでしょうか?

これについてはもちろん明確な数字があるわけではありませんが、ざっくりみても10%以下でしょう。

というのも我々ドライバー含む作業員は、シールを視認しても「特別な行動」を起こすことはありません。

極論で言ってしまえば、シールを視認しても「特に何もしない」のです。

しいて言えば「ああ、これは○○なんだ、そうなんだ」と思うぐらいです。

もっと極端に言えば、そのシールに気がつかないことすらよくあります。

「上にモノを載せないで」と貼ってあるからといって、その荷物の上に何も載せないなんてことはありません。

「この面を上に」と貼ってあっても、輸送途中にどうしても必要であれば荷物を横にすることだってあります。

その理由はいくつかありますが、ひとつの理由としてはやはり「一日に取り扱う荷物量があまりにも多すぎるから」ではないでしょうか?

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我々ドライバーが朝から晩までの間に取り扱う荷物量は、配達と集荷を合わせて少なくても200個以上です。

それだけの荷物を時間に追われながら捌いていくのに、一個一個の荷物をマジマジと確認する余裕はありません。

我々が荷物を積み込む時に必ず確認をするのは「送り状」とよばれる荷物に張り付けられた伝票ぐらいです。

わざわざ各種シールの有無や、ましてや内容物の確認などはしません。

だからこそ申し訳ありませんが「シールの効果」は微々たるものです。

荷物を取り扱う時にシールに気がつけば多少の効果はありますが、気がつかないことの方が比較的多いのです。

またお客様の荷物が発送されてお届け先に到着するまでのあいだには、何度も何度も積み替え作業が発生します。

コンビニやお客様のお宅で荷物を集荷したトラックが、そのまま現地までお運びしているわけではありません。

当然ですが、積み替えのたびにたくさんの人間がその荷物に触ります。

お客様の荷物を取り扱っているのは我々ドライバーだけではないのです。

我々ドライバーですらシールを確認するかどうか怪しいというのに、その荷物に関わるすべての人間がそのシールに気がつくか?と聞かれたら、その確率は低いと言わざるを得ません。

シールがあろうとなかろうと、その荷物は「何千何百とある荷物の中のひとつ」として他と同様に扱われます。

シールの効果はその程度です。

安全に運ぶためにどうすれば良いのか?

では荷物を安全に運んでもらうためにはどうすればよいのでしょうか?

これはやはり「梱包」が重要です。

ありとあらゆる状況を想定し、いかなる状況にも対応できる「梱包」をすることが破損を防ぐ一番の方法です。

たとえば「ナマモノ」であれば、最悪の状況を想定して「液漏れ」しないように梱包をすることが大切ですね。

ほとんどの野菜や果物というのは、かなり大量の水分を含んでいます。

もし万が一箱が潰れてしまった場合、ナマモノの水分が外に出てきてしまうことも考えなければなりません。

野菜や果物などを送る際には、ナマモノ自体を必ずビニールなどに入れて液漏れしないようにして下さい。

さらに「取扱注意」や「上にモノをのせないで」に関しては、ほぼ効果はないつもりで梱包してください。

そもそも我々すべての作業員は、どんな荷物であろうと取り扱いには十分気をつけて作業しております。

取扱注意というのは特別なことではなく、我々としては「当たり前」です。

また先ほども言ったように、輸送途中にどうしても必要がある時ば荷物を横にしてしまうことだってありえます。

これはもう宅配便を利用する以上は仕方のないことだと思って下さい。

ただ荷物が破損した時に困るのはお客様だけではなく、その保証や対応などをさせていただく我々も一緒です。

お客様の荷物が破損や損傷を起こして得をする人間など誰一人いません。

できるだけ安全に荷物を送るためには、まずお客様自身でしっかりと梱包をしていただくことが重要です。

まとめ

というわけでまとめです。

今回は宅配便で使われるシールについての意味と効果について、できるだけこまかく説明させていただきました。

結論としてはやはり、シールによる効果はそれほど期待できません。

だからこそ宅配便で荷物を送る際には、ありとあらゆる状況を想定してしっかりと「梱包」をして下さい。

「たぶん大丈夫だろう」とか「前も大丈夫だったから今回も平気」なんていう気持ちで送るのはおやめください。

先ほども述べた通り、荷物が破損してしまった時に困るのは「お客様だけではなく我々も一緒」なのです。

各種シールは単なる気休めであり、あくまでも無料サービスの一環です。

破損や損傷を防ぐために、あらゆる状況を想定した梱包をお願いします。

 

それでは今回はこのへんで。

最後までお読みくださり、ありがとうございました!

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